第3章

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自分では特別仲のいい兄弟だと思っていた。 それを気に病むことさえあったほど。 だけど本当は響也のことなんて 僕は何も分かっていなかったのかもしれない。 「ま、ゆっくり読めばいいさ。時間はたっぷりある――」 しんみりした僕に甘い声で囁いて 由莉が半身起こした――その時だった。 「待て!待てったら……!」 「え?」 騒がしい足音と共に 部屋に飛び込んできたものは 「く、孔雀?!」 羽を広げた巨大な雄孔雀。 長い足でベッドの周りを駆け回り 「う、ウソでしょ……!」 パニックを起こしたように宙を飛ぶ。 「このっ……少しくらい言うことを聞けよ!」 次いでそれを追って冬馬が姿を現した。
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