葉月と美月

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葉月と美月

ピンク、ハート、スカート、リボン。 可愛いモノはみんな美月のモノだった。 水色、お星様、ズボン、ピン。 私は、いつも「美月の次」のモノばかりだった。 美月は天真爛漫で、無邪気で、底抜けに明るくて、いつも笑顔で、優しくて、誰からも好かれていた。 私はそんな美月が羨ましくて、美月みたいになりたくて、美月みたいに振る舞って、美月みたいに笑って、美月に憧れて、美月を妬んでいた。 そうして人前で明るく振る舞うにつれて、本当の自分の心は影を増していって、美月に対する羨望と嫉妬は、日に日に増幅していった。 そしてそれを誰に言えるわけでもないまま、私達は今日、20歳になった。 まったく同じ瞬間に始まった、まったく同じだけの長さの人生を、まったく同じ姿形で、ずっと一緒に過ごしてきた。 でも、私は決めたのだ。美月と同じ人生を、美月を真似た人生を歩むのはもう辞める。 今日ここから、私は私の、葉月の人生を歩むのだと、決めたのだ。
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