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昼休み、私達は3人で食堂に行った。私と香南子は定食、広川はラーメンを食べた。広川の話が面白く、私達は笑いっぱなしだった。途中で香南子が飲み物を買いに席を立った。私の向かいに座っていた広川は、身を乗り出して尋ねてきた。
「なぁ、さっきから気になってたんだけど、それなに?」
広川が指差したのは、鞄からのぞく、講義の前に香南子からもらった誕生日プレゼントの包みだった。
「ああ、香南子から貰ったの。昨日誕生日だったから」
「えっ、工藤、誕生日だったの。うわ、知らなかった。言ってよ」
「自分から言わないよ」
「まぁ、そうか。いやぁ、誕生日だったのか。おめでとう。ハタチ?」
「ありがとう。そう、ハタチ」
「うわぁ、おめでとう。そうかそうか。誕生日。うん」
広川が繰り返し口にするのが可笑しくて、私は微笑んだ。広川は少し黙って、それからまた口を開いた。
「なぁ、遅れて悪いけどさ、俺に誕生日祝わせてよ。どっか遊びに行こう」
「え?」
「出来れば2人がいいんだけど。駄目?」
広川と2人で、遊びに行く。想像してみたが、楽しい様子しか浮かばない。すぐに、行きたいという気持ちになった。
「うん、いいよ。行きたい」
「本当?よかった。週末は空いてる?」
「日曜日なら、バイトもないし、空いてる」
「じゃあ日曜に……あっ」
広川が私の背後に目をやる。香南子が戻ってきたのを察した。
「あとでメールする。その時決めよう」
「分かった」
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