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彼方へ
「初めまして、本日この高校に転校してきました、ワタルといいます。僕がここに来た理由はただ一つ、エレシアに行くためです。よろしくお願いします。」
そう挨拶をすると、教室がざわつく
「わ、ワタル君。そういうことは軽々しく口にするもんじゃないんじゃないかな」
先生が苦笑いをしながら言う
「どうしてですか?」
「今はエレシアの事に触れないっていうのが暗黙のルールみたいになっているじゃないか。確かにこの高校は宮崎県の海沿いにあって、窓からは浮かんでいるエレシアを見ることはできる。だが、調査隊は原因不明の失踪、あらゆる手段を使ってもその全貌を捉えることはできなかった。ただの高校生には無理だ、無謀な挑戦はやめた方がいい」
「大丈夫です。死んでも誰にも迷惑はかけません。」
「君、変だよ? まぁ、こんなことで時間を食ってても仕方ないから、あの空いてる席に座って。」
「はい」
みんなそうだ。エレシアの事を口にすれば目をキョロキョロさせながら口ごもってしまう。
俺はエレシアに行きたい、そのためにわざわざ九州の高校まで来たんだ。
窓の外にエレシアが見える、授業なんて全く頭に入らない。ボーっと眺めていると男子生徒から話しかけられた
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