彼方へ

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「おい、ワタルって言ったか」 「そうだけど」 「エレシアに行くのはやめとけ。半径10キロ以内には近づくことすらできないし、今海沿いは厳重な警備が敷かれていて、捕まったら精神異常者として殺処分されてしまう。エレシアに殺される前に死ぬぞ」 「俺もいきなり突撃したりはしないさ。ある程度時間をかけて下調べをするつもりだ。」 「お前、本当に変な奴だな」 「別に、この社会に夢や希望を抱いているわけじゃないし、遅かれ早かれ死ぬんだからやりたい事をやって死にたいだけ」 「そ、そっか・・・」 キモっとでも言いたそうな表情をしてその生徒は離れていく。その目で見られるのは慣れてるから別にいいけど。 授業が終わり、帰ろうと歩いていると校門の近くで女の子に話しかけられた。 「ねぇ」 「なに?」 「私、知らない?」 「知らない」 「はぁ、やっぱり。君、エレシアにしか興味がないみたいだね。私、隣の席なんだけど」 「そうなんだ」 「ま、まぁいいわ。そんくらいの方がいいのかもしんないし」 「なんの話?」 「君に興味があるの」 「どうして?」 「堂々と人前でエレシアの事を話す度胸、死んでも構わないという強い気持ち。実は私もエレシアに行きたいと思っているの。どう、私と組まない?」     
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