藪に集う怨嗟

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小村は、自身と交友のある弁護士を訪ね、どのように動くべきかを相談を始める。 「難しいなぁ。こういう訴訟って、勝てば大々的に報道されるから『あぁ、勝てるものなのか』って勘違いする人がいるけど、影で血で血を洗うような争いをしてることなんて知らないよな」 弁護士はコーヒーをすすりながら、『揉み消されてる件数もな』と苦々しい表情と共に呟いた。 「こんなことがいつまでも隠し通されてるだなんて、考えられないだろ!ミスで殺された患者の無念は?遺族の無念は?それらは一体全体どうなる!?」 「どうもならないさ。彼らはソレを知らないんだし」 確かに、遺族はまさか医療ミスで殺されたなどとは思いもしていない。 完全に想定外の、突発的な発作による突然死だと勘違いしたままだ。 「……まぁ、打てる手は出来るだけ打っておこう。済まないが、そろそろ次のお客が来る時間だ」 「分かった。進展があったら、またな」 小村はその場を後にする。 その時、事務所の前ですれ違った男の頬には、刃物で付けられたような傷があった。 「……悪いな、小村」 誰も居なくなった事務所で、弁護士は呟く。 「俺はまだ、このバッジも、命も、手放したくはない」 事務所の扉が開き、頬に傷のある男が現れる。 「……分かっているな?」 男は、威圧的な声で弁護士に問う。 弁護士は、怖がる素振りも見せず、ただコーヒーをすすりながら、静かにうなずくのみだ。
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