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「……確か、リヒテルはこの国の王党派とは反目しているのであったな?」
サルバンが確認する様にニザに問い掛ける。
「そうだ、奴はウッディス候の……ひいては融和派貴族側に属している、だがそれがどうかしたのか?」
怪訝な表情でニザが聞き返した。
「……いや、どうもしない……ただの確認だ、気にしないでくれ」
サルバンは仏頂面で答えた。
「そうか……しかし、何時まで待たせる気だ?」
ニザが苛立たしげに呟く。
「落ち着けって、まだ30分しか経ってないぞ」
呆れた調子でギルークが言った。
「30分もだ!……一体何を確認しているのだ?」
「いやまぁ……追い返す算段でもしてるかもな」
肩を竦めて茶化す様にギルークは答えた。
「ふん……だとしたら、余程入念に段取りでもしてるのであろうな……ただ帰れと言えば済むものを」
皮肉気にニザが言う。
「言われて素直に帰るのか?」
「勿論帰らん……目にものを見せるのも辞さないつもりだ」
鼻を鳴らして即答するニザを見てギルークがお手上げと言わんばかりに両手を上げる。
「やれやれ……ここの衛士は気の毒だな」
同情する様にギルークは呟いた。
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