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三人が暫く雑談をしていると、不意に応接室の扉がノックされる。
「衛士長のゲイトです」
「入れ」
ニザが横柄な態度で言う。
「失礼します」
40代の男性が応接室に入ってきた。
中肉中背の武骨な面影、白い衛士服の右胸には幾つかの略章を着けた男が姿勢正しく部屋の入り口に立ち、ニザに敬礼する。
(……衛士と言うより軍の上級将校って感じだな)
無言でサルバンがゲイトの出で立ちを見る。
(街の衛士にしては随分と剣呑な気配がするな…恐らく、軍属上がりだろう)
ギルークもまたサングラスの奥の目を細めて内心で唸る。
「貴公が衛士長であるか……席に座ると良い」
二人を余所にニザはゲイトに席を勧める。
「いえ、このままで構いません……こちらを」
固い表情のままゲイトは断り、ニザに何枚かの書類を渡す。
「……これは?」
ニザが訝しげに問い掛ける。
「そちらはニザ様が問われた件の捜査資料の写しです……現在開示出来る捜査の内容は全てその資料に書かれています」
無表情でゲイトがニザの質問に答えた。
「ほう、そうか……私はてっきり煙に巻かれるとばかりに思っていたがな」
目を細め、ニザは意地悪く言った。
「お戯れを……もし、ニザ様が訪ねられたのなら情報を渡す様にリヒテル様から直々に言われてますので」
ゲイトは淀み無く答えた。
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