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……人間…みたいだな?
近付いて見ると、ちゃんとリアリティーのある存在感を放っていた。
それに、透ける様に見えた全体がしっかりとしている。
ただ…上手く言えないが。
違和感だけは拭えない。
本来は、此処にいる存在ではない違和感とでも言うべき…。
死んだばかりで、本人が気が付いていないパターンだろうか?
魂も亡くなってすぐは、生きていた時の形態と酷似している。
ほぼ、実態に近く見える事があるから。
それにしても、いつもと勝手が違う印象は否めない。
俺は手っ取り早く、区別をする為に。
原付きを停めて、【それ】の目の前に立った。
逃げる訳でも、何か話し掛けてくる訳でもない。
俺を認識しながら、敢えて無視をしている?
……ツン。
【それ】の肩先を、指でつついてみた。
……人間…だな。
俺の指は、しっかりと人体の手応えを伝えてきた。
確実に、生きた人間の感触だった。
それにしては、不思議な存在感だ。
『……アンタさ…。』
思わず声を出してしまう。
だが、戸惑いと驚愕の視線を向けられた。
当然のリアクションだ。
『ま、いっか。』
俺はクルリと背を向けた。
思わず声を掛けてしまったのだが。
相手が生身の人間ならば、ある意味…これ以上関わるのはタブーだ。
面倒くさい話になるから。
おかしな存在感に興味は覚えたが。
特別に自分が関わる必要もない。
多分…これ以上、その正体が解るとも思わなかったし。
何か悪い予感なる、空気も感じなかった。
すると、立ち去ろうとする俺の足元に、ヒラリと1枚の紙切れが舞い落ちた。
何気に拾い上げた。
多分…地図…。
だが、激しく不得手な人間が書いた様だ。
ちょっとした、謎の幾何学模様にも見えた。
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