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私が祖父を苦手としていることに気付いたのか、父がこっそり教えてくれた。
「じいちゃんは、本当はたくさん喋りたいんだよ」
「じゃあ喋ればいいじゃん」
「でも、お前は聞き取れないだろ」
「ばーちゃんが通訳してくれる」
「それが面倒だから、喋らなくなったんだ」
ああ。あの祖父ならばやりそうだ、と納得する。
朝から昼、そして夜までずっと。南向き窓のある部屋で、たばこを吸ったり新聞を読んだり昼寝をしたり、あまり動かない祖父のことだから、喋ることさえ面倒だ、なんて思ってそうだ。
「でもな、孫が可愛いんだよ。それだけはわかってあげてくれ」
「わかってるけど……だからって勧められてばくばく食べてたら、私、太っちゃうよ」
そう言ってむくれると、父は「食べることができるのは幸せなんだよ」と言って私の頭を撫でた。
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