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幼孫と祖父
祖父は無口な人だった。喋ることはあっても当たり障りのない会話だけで、決断を要する時や意見を求められた時は必ず黙り込む。
すらりと背が高く、海焼けした赤黒い肌と白いぼさぼさの髪の外見で、じいと黙り込んでこちらを見つめるものだから、幼い私は怖いと感じていた。
窓から差し込む夕日に照らされきらきらと舞い光る埃。それを出迎えるように下からくゆる紫煙。たばこを吸いながら新聞を読む祖父はしかめっ面をしていて、近づいてはいけない気がした。気づかれないよう遠くからそっと眺めるだけしか出来なかった。
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