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「んで、これがその新作?
…『恋、始めました』ね…」
練習の後、私の部屋でユキさんはノートを開いた。
付箋を付けてある、今日書いたばかりの新作にじっくりと目を通してるのを見たら…だんだん顔が赤くなってきた。
「ごめん、一旦返して。やっぱり恥ずかしい」
彼の手からノートを取ろうとしたら、ひょい、と逃げられた。
「ダメ。絶対。
今大事な所なんだから」
ユキさんは最初から最後までゆっくりと2度は読んだ……もう、顔から火が出そう。
「私、喉渇いちゃった。
ユキさんもお茶、飲む?」
立ち上がろうとした私の腰を急に引き寄せるもんだから、どすん、と彼の膝に乗ってしまった。
「逃げちゃだめ。
ノートの新作、『始まった恋』って…俺達の、って理解していいんだよね?」
ユキさんは真剣な表情で私を見つめる。
その眼差しに引き込まれる様に、私は頷いた。
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