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「今ならまだ間に合うから聞くけど。  ……俺で、いいの?」 彼は泣きそうな表情になった。 私がゆっくりと彼の胸に顔を埋めて腕を背中へ回すと、驚いた様にびくり、と震えた。 躊躇いながらも、抱き締め返してくれる彼の耳元で、そっと呟いた。 「ユキさんじゃなきゃ駄目。  私の心のスイッチは、ユキさんじゃなきゃ押せない」 歌詞には、    『あのキスで、私の恋のスイッチが入ったみたい』 ってフレーズがある。 それはまさに今夜の私のこと。 彼の唇が私の額に、瞼に、そして唇へと降りて来る。 何度も重なるキスは、だんだん長く、深くなる。 始まりだした恋が運んできてくれたもの――それは、こんなに暖かい、幸せ。
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