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「………って感じかな?」
私は一通り話し終えると、マグカップに手を伸ばした。
エスプレッソは少し冷めて飲み易くなっている。
「…お父さん、可哀想…。
長い間報われなかったんだねぇ…」
「でも、最終的にこんなに幸せな家庭があるんだから良かったんじゃない?
ユキさんの努力、俺も見習わないと」
目の前には高1の娘の桂と、うちの遠縁で同じマンションの真下に住む高3の海里くん。
この二人も小さい頃から仲が良かったのだけれど、半年位前から「お付き合い」が始まった様だ。
今日は午後からの仕事なので、ユキさんとリビングでコーヒーを飲もうとした時に来た二人に、
「お父さんとお母さんが付き合い始めたきっかけって何?」
って捕獲されたのである……。
我が愛しの旦那様は、絶対何か企んでいるかの様な笑顔でこう宣った…。
「それは実に興味深い。
是非聞かせて貰いたいなぁ」
…うっわ。湯川准教授の真似!?
私に振ったよこの人!
……って思いながらも、3人を前に語り終えたのが先刻の事。
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