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「フォトショップとか、ペイントツールが使えれば、パソコンスキルとしてもアピールできるんじゃない?」
コンピュータ部の先輩がアドバイスしてくれたけれど、小春は恥ずかしくなった。
デジタル音痴で、パソコンの設定やら部品の名前なんてこれっぽっちも分からない。
「アナログかぁ。漫画研究会もあるけれど、一応美術部志望って書けばいいんじゃないかな。
僕はマンガも美術も同じ芸術だと思うけど、先生方はまだまだ美術の方が高尚だと考えていると思うな」
ああ、辛い。小春の作品は8割がたアニメ絵なの。
助言が真摯であるだけに、外れた時のダメージが大きかった。
「何か、賞を取ってればいいんだけどなぁ。難しいよね」
学校のテーブルを囲んで、上級生が討議する。
「日本画始めたばっかりで、まだまだ出品できるレベルじゃないのです」
泣きそうになる所をぐっとこらえて、小春は勇気を振り絞り何とか言葉にした。
瞬間、テーブルの空気が変わった。
「日本画! すげえじゃん! 絶対書きなよ」
隣に座っていた清潔感溢れる男子が真っ先に声を上げた。名札は1年生のものだった。
「ねぇ、どんなきっかけで書き始めたの?」
「合格したら絶対美術部入りなよ」
口々に驚きと興味ありげな声が上がり、無事自己推薦用紙を書き上げることができた。
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