香りの君

若葉の季節

４月は新しい環境になじめるかな？　と不安だった。

元々内向的な性格で、スポーツより絵描き。
という、ともすれば一人遊びに没頭してしまう性格だった。

でも、ライン交換や桜の舞う中でのお弁当交換に誘ってくれた友人や、一緒に映画を観に行く友人もできた。
「後は彼氏作るだけだね」と冷やかされるほど、順調なスタートだった。

今日は友達には申し訳ないけれど、一人での買い物。

お父さんが合格祝いに「これで好きなものを買いなさい」と、商品券を５万円分くれたのだ。家に居る時のお父さんは、正直あまり好きにはなれない。いつも寝ているか、テレビを観ているかだ。

バッグの中には『合格祝い』と書かれた熨斗袋。ずっしりと重く感じる。

お父さんとは最近あんまりしゃべっていない。埋め合わせに、何かお土産に買って帰ろうかなと夢想する。