死んだ子の齢を数える

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 娘が四歳のころ,僕と妻は娘を連れて自宅から電車で二十分ほどのところにある公園に遊びに行った。  大きな公園で,子ども達が水遊びできるスペースがあり,小さな噴水から大きな噴水まで,子ども達が大はしゃぎする仕掛けが随所にほどこされていた。  子ども達が遊んでいる間,親たちは周りを囲むようにして我が子を見守っていた。  どの子も全身びしょ濡れになりながら,大はしゃぎしで噴水の周りを走りまわっていたが不思議なほどお互いがぶつからない微妙な距離感を保っていた。  あちこちから親の「ダメでしょ!」「走らないの!」「あぶないでしょ!」という声が飛び交っていたが,子ども達はあっちに行ったりこっちに行ったりと大忙しだった。  僕は走り回る娘の姿をスマホに収めようと必死に追いかけたが,すぐに画面上から見失ってしまい,その度に顔を上げて娘をさがした。  男の子達が元気よく目の前で走り回ると娘は急に立ち止まってしまい,噴水を直撃して泣きだしてしまった。  その瞬間,僕もビックリするような速さで妻が娘を抱きかかえて噴水から救出した。  陽当りのよいベンチでタオルを頭からかけて拭いてあげると,娘は再び噴水へ行きたがり少し離れたところから男の子達の動きを用心深く観察していた。  僕と妻はそんな娘の様子を見ながら,楽しそうに噴水に向かって行く後ろ姿をヒヤヒヤしながら見守った。  一日遊んだ娘は,帰りの電車のなかで人形ように眠ってしまい,駅から家まではずっと僕の背中で眠り続けた。  簡単に折れてしまいそうな娘の脚が愛おしく,元気に走り回っていた姿を思い出して背中の重さに幸せを感じた。
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