死んだ子の齢を数える

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 娘が五歳になってすぐ,近所の公園で遊んでいると公園の脇を散歩コースにしている年老いた柴犬をつれた年配の女性が通りがかった。  僕も会えば挨拶をするくらいの相手だったが,動物好きな娘は彼女が通ると走って犬のところに行き,無反応な年老いた柴犬の頭を優しく撫でた。  年配の女性は笑顔で娘を見ていたが,僕は犬が娘を噛むのではないかと気が気でなかった。  犬は娘のことを知っているのか黙って頭を撫でさせ,娘が抱き着いても嫌な顔ひとつせずに娘に好き勝手させていた。  動物好きな娘の姿に,僕は安心感とこのまま優しい女の子に育って欲しいと願った。  年配の女性は娘がよく犬を撫でにきて,いつもは妻も一緒に年老いた柴犬を可愛がっていることを教えてくれた。  動物好きなのは妻に似たんだろうと,娘が楽しそうに犬を撫でている姿を見て嬉しくなった。
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