死んだ子の齢を数える

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 娘の六歳の誕生日になにをプレゼントするか妻と話し合っていた。  毎年,一ヵ月ほど前からプレゼントについて話し合うのが妻との楽しみで,今年は娘がプリキュアの玩具を欲しがっているのを妻から聞いたので,休みの日にショッピングモールに行く予定を立てていた。  ある日の晩,妻が寝室で誰かと電話をしていた。きっとご両親と娘の誕生日について話しているんだろうと気に留めなかったが,いつもより長電話だったので妻が戻ってくると娘と僕とで長電話を責めた。  妻は笑顔で,「とっても大事なお話があったのよ」とおどけていたので,ご両親とプレゼントについて話していたんだろうと思った。  娘も妻が戻ってきたことで喜んで甘えた。  妻は娘を抱っこして,嬉しそうにソファへと座り,娘と一緒に倒れるようにして横になって笑った。  ちょっと仲間外れにされた気分になってソファに近づいたが,娘から「きちゃダメ」と両手で制されて自分でも驚くほど悲しくなった。  妻がすぐに僕の気持ちを察して,おいでおいでと手招きをしてくれたので娘も渋々僕を受け入れてくれた。  ちょっと娘に拒否されただけでこんなに苦しい思いをするなんて想像できていなかったので,娘が反抗期になったら僕は死んでしまうんじゃないかと本気で思った。
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