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その日の夜、
夜勤じゃない龍也さんは
私がマンションに着いて
直ぐに帰ってきた。
「早いね。」
「遅い方をご希望かな?」
「そんな意味じゃない!」
何も変わらない減らず口。
もう!!
「じゃぁ、何?」
冷蔵庫に用かと
思って知らない振りをしていたら
流し台の前に立つ私の後ろに立って
腰に手を回し
首筋に顔を寄せてきて話す。
話すたびに息が掛かり
くすぐったい。
「さっき帰ったばかりだから
ちょっと焦っただけ。
ご飯まだだから。」
「ふーん。
そ、別に焦らなくて良いよ。」
龍也さんは手を離し冷蔵庫から
ミネラルウォーターを
取り出すとソファーに座り
テレビを点ける。
ビックリしたー。
普段はあまりビールを飲まない。
夜中に呼び出されても良いように。
私は急いで出来る物を一生懸命少ない
レパートリーから考えて作り始める。
手早くなんとか支度を済ませて
テーブルに並べて
龍也さんに声を掛けると
「おっ」
と嬉しそうに立ち上がり座る。
「旨そうじゃん。」
龍也さんは変わらず料理を食べ始めた。
「所で会社の松村さんって
龍也さんの患者でしょ。
なんで教えてくれなかったの?」
少しイラッとしながら話す。
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