思い出せないなら、聞くしかない

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事の発端は、棚の奥から出て来た高校の卒業アルバムだった。 高校卒業から早10年。仕事に追われる毎日を、仕事が見つからないよりはマシさ。マシマシさ。マシマシ兄弟さ。どうもマシマシ兄です。どうもマシマシ父です。兄弟ちゃうんかーい!…と、現実逃避すること3日目にして見つけた、この卒業アルバム。 よし、ブラック企業に就職してしまった黒歴史のことは一旦忘れよう。ブラックだけに。うまい!むしろうまくない!…と、過去に逃避するべくアルバムをめくってみたのだが。 「こいつ、誰だっけ…。」 見事なまでに誰一人思い出せない。 高校卒業後すぐに就職した企業がブラック企業で、初日に脳改造手術をくらい、脳の99パーセントを会社への忠誠心に変えられてしまったのだから、致し方ないと言えば板挟みの家内。 緑色した2人組のおっさんに再改造手術を受けてどうにか日常生活に支障がでないっぽいレベルにまで脳を戻してもらったが、記憶の方はどうにも戻らないらしく。 仕方なく、俺は携帯に登録のあった番号に片っ端から電話をかけ、高校時代の友人を探していたのだった。
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