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悩んでいたってそうそう自分が変われるものではない。変えるべき問題でもない。バレてイジメを受けたこともなければ、周りから奇異の目で遠巻きに見られることもない。なんせ惚れやすいくせに告白というものをしたことがないのだ。男が好き、と知っているのは友人の浩平しかいない。彼は気持ち悪がる素振りもなく、離れていく訳でもなく、純也の友人として数年一緒にいる。純也が惚れた人物について話すのを聞きながら。
話は戻るが、転校生の彼は真栄城グループという有名な大企業というもので。所謂お金持ちの本家のご長男であるようで。後々は後を継いで社長に、との噂がある人物だ。お家柄、送り迎えのお車が存在する。なぜこんな一般的な高校に時期外れな転校をしてきたかというのは、純也とにとっては興味のないことだ。興味があったのは、転校生の送り迎えをしている運転手。その人物に純也は一目ぼれというやつをしてしまったようで。浩平にそう話すと、お前気は確かかと言われた。純也は割と惚れやすいタイプの人間であり、すぐに浩平に報告することが日常茶飯事だった。しかし、今回は次元が違う、とさすがの浩平も止めにはいる。相手はマジのセレブな方々だ。いろいろ危険なことや面倒事が想像される。女が男に惚れたのとは訳が違うのだ。一般人が近づきでもしてみろ、と浩平は釘をさした。わざわざ危険に巻き込まれにいく必要はない。それに、いつもは見てるだけの純也
が今回は想いを伝えるときた。今まで聞いているだけだった浩平も黙ってはいられなかった。
『お前今回は訳が違うぞ』
『え~でもなあ、しょうがないじゃん?』
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