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「なっ・・・」 衝撃が強過ぎて頭の中が真っ白になった。目を見開いたまま絶句する日和に、風太が苦笑する。 「うん。だから、奏に罪悪感とか感じる必要はないし、俺を諦める必要もないよ」 「だ、だ、だまっ、騙したのか!」 「人聞きの悪い。俺は敢えて言わなかっただけで、ひと言だって付き合ってるなんて言ってないよ?ひよさんが勝手にそう思ってただけでしょ?」 「そ、それは・・・」 「奏が、どういうつもりでそんなことを言ったのかは分からないけど、多分あいつもはっきりとは言わなかったんじゃないかな。曖昧に誤魔化してなかった?」 日和はあの日の奏を思い出す。確かに付き合ってるとは言わなかった。ただ風太への想いを湛えた目で、俺のものだと、宣言しただけだ。 風太にしてもそうだ。敢えての部分に悪意は感じるが、肯定はしていない。 「否定しなかったじゃないか」 「だって、腹が立ったから」 「・・・は?」 「俺、あんなにマジギレしたのなんて初めてかもってくらい、頭きた。冷静にって思う端から怒りが湧いて仕方なかった」 「・・・ごめん」 あんな自分勝手なことをしたからと、自身を責める日和を、風太が覗き込んだ。 「なんか色々考えて落ち込んでるみたいだけど、ひよさんは勘違いしてるからね」 「・・・勘違い?でも、小原だって最低だって言ってたじゃないか」 「そりゃね。奏から奪ってやろうと思って襲って来てるならともかく、諦める気満々なひよさんを見れば、頭にもくるでしょ」 「え・・・お、襲ったことは?」 「舞い上がるくらい嬉しかった」 「嬉しかった・・・」 「俺はね、ひよさんの本音が知りたかったんだ。簡単に諦められるような好きなら、要らないと思った。俺もひよさんが好きだよ。でも俺は、ひよさんに恋人が居ても、絶対に諦めない。奪ってでも手に入れたいと思うから、ひよさんにもそう思って貰いたかったんだ」 虐めてごめんねと、風太がほんの少し切なげな目で笑った。
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