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「ーーひよさん」 顔が近づき目を閉じる。唇に柔らかな感触が押し当てられ、ああ、キスしてるんだと、二度目にしてようやくその余韻に浸れた。ーーーーでも、それも最初だけで、直ぐに頭の中が真っ白になった。 唇を食まれ、幾度も啄まれる。舌先で唇を濡らされそのまま中へと浸入された。口内で探るように舐められ「んっ」と、喉の奥で声が漏れる。 縮こまった舌を絡めとられ、甘噛みされただけで体に痺れるような快感が走り抜ける。どんどんと深くなるキスに翻弄された。 唇が離れ、はぁはぁと息を乱し、潤んだ目で艶やかに笑う男を見上げる。風太は「ひよさん可愛い」と、鼻先にキスを落とした。 「か、可愛くない!」 顔を赤くして反論すれば「そういうところも可愛い」と、耳元で囁く。何を言っても、可愛いと返され、日和は何も言うことが出来なくなった。 耳の後ろに強く吸い付かれ、耳朶を甘噛みされる。ピチャと響く水音に、日和は居た堪れなくて首を竦めた。 「ねぇ、ひよさん。俺が抱いてもいい?それとも、やっぱりひよさんが抱きたい?」 Tシャツの裾から手を突っ込みながら、風太が訊ねる。悪戯らな指先が体をなぞり、小さな尖りへと辿り着く。 指の先で捏ねくり回され、弾かれる。そんな場所が感じるはずがないと思うのに、与えられる刺激に腰がジワジワと熱くなっていく。 「・・・んっあっ」 「答えて、ひよさん」 返事をするのを邪魔しているのは風太なのに、焦れた様子で答えを急かす。 抱くことに拘りはない。ただ、年上の矜持として抱く方を選んだだけだ。タチやネコと話は聞くが、自分がどっちかなんて本当のところは分からない。 「・・・抱いていい」 日和が目を伏せると、瞼にキスをされる。 「うんと優しくするね」 甘く蕩ける声音に小さく頷いた。
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