7、弱者

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7、弱者

7 近くで見るこの虎猫は三毛猫よりも大きく、身体に細かい傷がいくつも見られた。 突然の事でビックリしてしまい一瞬身体が固まって反応が遅れてしまった。左頬をザックリひっかかれてしまったのだ。 寅之助は自分の左頬が熱くなるのを感じた。次第にジンジンとしてきた。 頭の中はパニックになったが虎猫はなおも飛び掛かってきている。 寅之助は無我夢中になり思い切り頭から虎猫のお腹に体当たりをした。 虎猫は体勢を崩して倒れこんだがすぐに起き上がり臨戦態勢をとっている。 ヤバイヤバイヤバイヤバイ、夢なのに妙にリアルな感覚に寅之助はすっかり意気消沈してしまった。 近くでみる虎猫の威圧感に呑まれてしまいついには逃げ出した。 「夢なら早くさめてくれ!」 寅之助は脇目も降らずただ闇雲に走った。どのくらい走っただろう。 しばらくしてから恐る恐る後ろを振り返ると虎猫はいなかった。 寅之助は安心して走るのをやめてゆっくり歩き出した。 次第に落ち着いてくると三毛猫の様子が気になったが怖くてあの場所に戻る気にもなれなかった。 自分のカッコ悪さにショックを受けたが足が進まない。 あの三毛猫はどうなってしまったのだろう、虎猫は凶暴だった。三毛猫も襲われているのではないか? それは自分には関係のない話だと自身に言い聞かせてもすぐに そういえば名前も聞いてなかったな、、などと考えている。 寅之助はハッとした! 確かに妙な夢で怖いとも思ったがこれはリアルではない。夢ならば捨て身でもどうとでもなるだろう。 むしろどうにかなるかもしれない!夢の世界なんだからという考えは固まった寅之助の身体を前に進めた。 頬の傷はジンジンとしたままだった。
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