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8、弱者から
8
もといた場所に戻ってきたがそこには誰もいなかった。
三毛猫は!?逃げたのかな?そう思った瞬間
「また戻ってきたかよー!」
しゃがれた声で話しかけてきたのはあの虎猫だった。
虎猫はさっきのような威圧的な態度ではない、落ち着き不穏な笑みをうかべながら話始めた。
「突然逃げ出したから臆病者かと思ったが、意外と度胸もあるじゃねーか!さっきの体当たりは効いたぜ!」
先程の殺気が嘘みたいだ。虎猫は続ける。
「俺の名前は源三郎ってんだ!お前は?」
「、、、寅之助」
「寅之助ってーのか。じゃあ1つ聞くがお前はボスに興味があるか?」
何を言っているのか?自分は猫ではない。そんなものに興味はない。
「、、ないです。」
源三郎は傷だらけの顔で不気味に笑った。
「そうか、そうかー!それなら安心だ!さっきは突然攻撃して悪かったなー、なんせ事情が事情だからよー」
例のボス争いのことだろう。寅之助は気になったことを聞いた。
「あ、あの、、三毛猫は?」
「あー、キキならここにはいねーよ!お前が逃げ出したと同時にどっかに行っちまったよ!」
三毛猫の名前はキキというらしい。寅之助は安心した。
「あの、、」寅之助は尋ねた。
「源さんでいいぜ!」
「源さんはなんで自分がボス争いに関係してると思ったんですか?」
これから先こんなことがあっては堪らない。せめて理由と対策が知りたかった。
「なんでってお前、そんな目付きの悪い猫がいたら誰だって警戒するぜー!それにお前もオスだしなー。」
寅之助はおかしな事に気が付いた!源三郎は今、寅之助の事を猫と言ったのだ。
夢の世界で身体が縮み、猫と話をしている。今の状況ならそれもあるのかもしれない。慣れとは恐ろしいものだ。
あんなに不思議で怖い経験をしても今は納得できている。
むしろ少しワクワクしてきている。今までとは違う非日常的な事を望んでいた今までの自分の願いが夢の中でだが叶いつつある。
寅之助は怪我の事も忘れて源三郎から今のこの地区の状況を詳しく聞こうと思った。
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