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10、不思議な週末
気付いたら朝になっていた。
正面には見慣れた部屋の天井が見えている。
自分の部屋だった。
昨夜の出来事は夢だったのだろう。それにしても妙な夢だったと寅之助は思った。
最近同じ夢に悩まされていたが、みる夢がリアルにはっきりと記憶に残っている。
まるで昨日の夜本当に起こった出来事かのような不思議な感覚だった。
時計を見たら朝の9時を回っていた。今日は土曜日で学校は休みだ。
昨夜の夢のせいで心なしか身体が重く感じたが寅之助は起きることにした。
ベッドから立ち上がると急に左頬に痛みを感じた。
まさか、と思い寅之助は手鏡で自分の顔を見てみた。
くっきりと引っ掻かれたような傷が左頬にあった。
傷はそれほど深くなく、もおかさぶたになっていた。
寅之助はショックを受けた。と同時に猫の事が気になった。
この傷がもし昨夜の夢に関係しているのならこの町のどこかにキキや源さんがいるはずだ。
何かあるかもしれない。
それに源さんから行ってはいけない場所について聞いている。
寅之助も知っている場所だし人間の姿ならそこまで恐れることのない場所だ。
今日はそこへ行ってみようと思った。
いつまでもぼーっとはしていられない。
寅之助は身支度を整えリビングに向かった。母親がいたが会話も早々に朝御飯を食べて家を飛び出した。
源さんの言っていた場所は駅前の商店街にある。
ここからそお遠くはない。
寅之助は早足になっていた。
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