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何もしなければ何も変わらない。ただ流されるままに自分を押し殺して生きていく。
そんなのはごめんだ。誰もが経験したことのない、何かに熱くなりたい。
寅之助はいつも思っている。
もう中三だ、受験がある。同級の奴らはぽつぽつ進みたい道を決めてきていた。
焦らなくちゃいけないのに、何も出てこないのだ。考えると頭が真っ白になる。動こうとすれば体が重くなる。
学校で習う授業がこの先どうやって役に立つんだろう?
教師の言葉も頭に入らなくなる。でも親は勉強しろと言う。頭が良ければ良い生活が出来ると言う。
果たして本当にそうなのか、、、
疑問を抱きつつも親の勢いに押され学習塾に通うことになった。五月の終わりの話である。
学習塾は家から五分位の場所にある。周りは特に栄えている事もない。小さな倉庫や工場がぽつぽつ昔からある静かな場所にある。
珍しいかどうかは分からないが付近では野良猫が多くいたるところで見かける。
そんな時間がゆっくりと流れているような場所にポツンと赤い屋根の家が見えた。これが塾なのだ。
門の前に立ち、インターホンを鳴らすと中から初老のおばさんが出てきた。軽く挨拶をすませると早速教室に案内された。
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