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玄関から入ると廊下があり右左に扉がある。ここは居住空間のようだ。
奥に階段があり二階へ案内されるとそこは教室のような部屋が一室あるだけである。
そこに教卓やホワイトボード、机がならべてあった。
生徒は自分の他に三人いた。
三人とも見たことがある顔だった。一人は小学校から一緒でたまに遊んだりもした龍也。
彼はクラスでも人気がある。誰に対しても分け隔てなく接する。クラス委員長もしており責任感の強いやつだ。
もう一人は小学校は一緒だったが春休み前に隣の学区に引っ越して別の中学にいってしまった信男。
とりわけ仲が良かったわけではないが底抜けに明るく、自分を見つけるなり久々だなと気さくに話しかけてきた。
最後はこの塾の老夫婦の孫という謙太。
彼は物静かで気難しい性格らしく信男いわくとっつきにくい奴らしい。
授業はこの老夫婦でやっているらしい。学校の感じとさして変わらなかったが、龍也や信男のおかげでそれなりに楽しかった。
塾に通いだしてからだろうか、不思議な夢を見るようになった。嫌な感じの夢でもなかったので気に留めていなかったのだが頻繁にみるので。塾の教室で龍也と信男に何気なく話してみた。
その夢とは気が付くと見慣れた近所の倉庫の前にいて、その倉庫をあとに自宅の方へ向かって進んでいく。
自宅の前に一匹の三毛猫が二階の俺の部屋を見上げているのだ。
自分に気づいた三毛猫は身をひるがえし、自分とすれ違うように去っていく。逃げる様子もなくゆっくりと
気になった自分はその猫の後をつけていこうとするのだがそこでいつも目が覚めてしまうのだ。
なにかの暗示だろうかと不思議に思い近所の野良猫を見るのだが三毛猫はいなかった。
怖い話でも期待していたのだろう。信男はオチのないこの話に少しがっかりしていたし龍也もよく分からないといった感じだ。
自分でもよく分からないこの話に聞き耳を立てていたのだろうか謙太が話に入ってきた。
普段の会話などほとんどなかったのでびっくりしたが謙太は
もしかしたらその猫は何かを伝えようとしているのではないかと言った。猫には不思議な力があるらしいと、、、
謙太はオカルトな話が好きらしい。
だけれど腑に落ちない、何か伝えたいことがあるならなんで途中で目覚めてしまうんだろう。
所詮は夢の話である。考えることをやめた。
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