5、夢

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寅之助は思った。 不思議そうな顔をしている寅之助などお構いなしに三毛猫は話し出す。 「死んでるのかと思ってびっくりしたわ。どうしてこんなところに倒れていたの?」 こんなところ?自宅の自室ではないのか? 寅之助は今起きている状況はすべて夢なんだと勝手に解釈することにした。 よく見るとここは自室ではなかった。どこか草むらの中にいるようだ。 寅之助は分からないと答えた。 この三毛猫はどうやら今のところ害はなさそうだ。 なおも三毛猫の質問は続く。 「あなた見かけない顔ね、どこからきたの?」 ? 寅之助は不思議に思った。昨晩この猫に案内されて空き地に連れてこられたのに覚えてないのかと思った。 これは夢だから時間も設定もむちゃくちゃなんだろうと勝手に解釈することにした。 それにしてもおかしな夢だ。寅之助は不思議に思っていた。 夢とは常におぼろげなものだと思っていたがこの夢は違う。 自分の意識がはっきりしているのだ。 よく考えるとまたまたおかしな点に気付いた。 三毛猫のサイズである。大きく感じるのだ。まったく不思議な夢だ。 寅之助は三毛猫の質問にまた分からないと答えた。 会話が成り立っているのが不思議でならなかった。 三毛猫は言った。 「今、この町は少しややこしい事になっているの。私以外のに見つかったら殺されていたわよ!」 寅之助は思わず吹き出してしまった。
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