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6、不穏な影
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三毛猫は寅之助の態度にムッとしたらしくしばらくそっぽを向いてしまった。
さすがに悪い事思い何度も謝った。だんだんと機嫌が回復してきたのか三毛猫はまた話し出した。
「どうやらあなたは他所の町から来たようだから教えてあげる。この区域は今、次期ボス候補達の争いですごく殺気だってるの!」
その後も説明は続き三毛猫の言うことを簡単には理解できた。
この周辺に住んでいた猫たちには元々ボスという存在がいて、縄張り間の問題の解決や治安維持などをしていたらしい。ボス猫は性格が穏やかで争い事もほとんどなくこの区域は平和だったらしい。
しかし1ヶ月位前からそのボス猫が忽然と姿を消してしまったのである。
そのため古くからこの地区に住んでいた猫達や前々からボスの座を狙っていた若い猫達の間でいざこざが起き、今では殺し合いにも発展しかねない状態だという。何匹かの猫はこの争いから離脱していなくなり、またあるものは派閥を作り勢力を伸ばしているのだという。
なんともヤンキー漫画などにありそうな派閥争いがまさか猫の世界でも起こっている。それも寅之助の家の近所でである。
また寅之助は吹き出してしまいそうになるのを必至に抑えた。
その時である。寅之助達のいる場所から数メートル先の草むらがガサガサと音をたてた。
そこに目をやると一匹の虎柄の猫がこちらに近付いてくる。近くまできて分かった事だがこの虎猫は片目に大きな傷のある隻眼であった。
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