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第1話 平凡に生きたい
オレは今、真っ白な部屋にいる。
いや、部屋かどうかはわからないか。右向いても左向いても全部真っ白だ。だだっ広い空間なのかもしれない。
そんな場所に腕組みをした女性が一人、ぽつんと立っていた。見るからにキゲンの悪そうなその人は、オレの顔を見るなりため息をついた。
なんだか感じ悪いな……。そう思っていると、相手が口を開いた。
「まさか、あんなアッサリ殺されるなんてね。ちゃんとチート能力まで与えてやったのに」
「は? いきなりなんの話?」
「そっか、覚えてないんだね。じゃあ教えてあげる。あんたは別の世界からやってきた『転生者』だよ」
「別の世界?」
「そう。その世界で死んだアンタを一度チート能力付きで転生させたんだけど、今度はこっちの世界でも死んだって訳」
「つまりオレは2回死んだって事?……全く記憶にないな」
本当に何も思い出せない。どこから来たのか、家族は居たのか、好きな食べ物は、自分の名前でさえも。
まるで自分の中身がカラッポにでもなったような気分だ。
「まぁ、記憶についてはなんとかなるでしょ。じゃあ転生のオカワリいこうか。女神たる私が、今度はもっとスゴイ能力をあげるからさ!」
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