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「・・・・・・ごめん・・・」
消え入りそうな声で
聡がそれだけ呟いて、私から手を離した。
やっと聞けた、聡の、声。
「・・・なんで謝るの?」
「・・・・・・」
「大丈夫だよ聡。
私今、聡の声聞けてうれしかった」
「・・・・・・」
「私も、聡が好き」
今度は、私から聡を抱きしめた。
驚いたみたいで、一瞬聡が私から手を離したけど
でもすぐ
またその手は私を包んだ。
聡の声は、綺麗な声だった。
どこにもないくらいとても綺麗な声で
何より一番
私にとって素敵な言葉を発する声だった。
少し震えている身体を落ち着かせるように
優しく抱きしめる。
「ねぇ聡。ゆっくりでいいからさ。少しずつでいいから。
また私に、声聞かせてね」
焦らず、ゆっくりでいい。
聡の声を
聡を
知っていきたいから。
「・・・・・・うん」
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