生霊返し

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 わたしはそれからまた巫女さんに100円玉を納め、何度も何度も恋みくじを引き直した。気弱そうな巫女さんだったので、わたしはその性格を利用して、半ば強引に大吉が出るまで狂ったように引き直す。誰が何と言おうと、この場でわたしは大吉を引き当てる。しかし、いっこうに大吉は出ない。出るのは凶みくじとタメ息のみ。 「あー、もう何なんだよ!!!」  わたしは引いた数だけの凶みくじをビリビリに破いた。破いて破いて、周りが引くほどに発狂する。  わたしを見るに見かねて、巫女さんが勇気を振り絞って恐る恐る口を開いた。 「あの凶みくじが出た場合はあちらにある木に結んでください。これ以上、無闇にみくじを引いたり、この場で破られても周りの方に迷惑がかかるだけですので……」  と、声を震わせながら、なだめてくれた。  わたしはその言葉で我に返る。巫女さんが指差した先に大木があった。多くの、みくじが結ばれてある。まだ破られていない凶みくじが残っていたので、仕方なくそれらを木に結ぶことにした。神聖な神社を汚しては叶えたい願いも神様に聞き入れてもらえないと思ったからだ。だから、わたしは反省せずには入られなかった。 「申し訳ありません、申し訳ありません、申し訳ありません……」  と、神前に向かって何度も謝った。神様は寛大なお方だ。きっと赦してもらえる。きっと……きっと……。
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