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次の日、そのデスクに彼の姿はなかった。噂をする同僚たちの話し声を盗み聞きすると、どうやら彼は転勤が決まっていたらしい。
待ち人が去った……。
最初に引いた「凶、待ち人去る……」という恋みくじが当たったのだ。
昨日、同僚たちは彼の送別会をしたらしいが、わたしは言うまでもなく声すらかけられていなかった。
後日、そのとき撮ったであろう何枚かの思い出の写真が同僚のデスクの上にそっと置かれてあった。15時休憩中、誰も居なくなった部屋で、わたしはこっそりその写真を見てみた。
それを見て、わたしは驚愕した。
何枚かの1枚に彼のアップ写真がある。
右の目の下に泣きボクロがあるではないか。
あの日、見た男の目と同じものだった。
誰かに似てると思ったら、彼だったとは……。
あの神社には彼が居た。
彼は生霊を飛ばしてまで、わたしにお別れを言いたかったのか。
いや、それはありえない。
だったら、わたしが飛ばした生霊を跳ね返すために、彼は生霊返しをしたんだ。だから、あの日、わたしの前に現れたんだね。
でも、それで逃げ切ったと思うなよ……。
今度は逃がさないからな……。
どこまでも追いかけて、絶対わたしのものにしてやるんだからな。
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