鎧戸

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私は昔から目線に敏感だった。 鏡越しでも、後ろにいても、誰かが私を見ているならすぐにそれが感じ取れた。 そして今も感じている。 一人暮らしのマンションのベッドの中、脇の小窓のシャッターの隙間から、ずっと誰かが私を見ている。 私はいつもシャッターを閉めて寝る。でもここのところずっと、いつの間にかそれは開かれていて、そのわずかな隙間から、その目はずっと私を見つめている。まばたきもせずに。 それに、最初は二つだった目線は四つになり、六つになり……どんどん目線は増えていく。 今日も数えきれないほどの目が私のことを見つめている。 でも、私は怖くて目を開くことができない。 彼らはいつ、私を許してくれるのだろうか。
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