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「きゃっ!?」
咄嗟に、彼女を押し退けるようにして、ブレイドは慌てて振り返る。突然押し退けられた彼女が悲鳴を上げて、バランスを崩して壁に凭れ掛かっていた。
だが今のブレイドに、そんな彼女を気遣っている余裕はない。
「リ、リリ、リデル、なんでここに……」
いつの間にそこにいたのか、腰に両手を当てて仁王立ちになっている小柄な少年の姿を瞳に捉えて、サーッとブレイドの顔から血の気が引いた。
「随分とお楽しみのようだな」
ブレイドより頭一つ分以上身長の低い少年――リデルは、十代前半ほどのまだ子どもに見える。
しかし話し方は、子どもにしては随分と偉そうなそれであり、また、彼の見た目年齢と実年齢が全く違うことを、ブレイドは知っていた。
「帰りが遅いから心配になって探しに来てみれば。僕というものがありながら、こんなところで女漁りか?」
首を傾げる動きで、短い彼の金髪が揺れる。血のように赤い瞳に睨まれて、ヘビに睨まれたカエルのように、ブレイドはひっと小さく悲鳴を上げた。
「こ、これは、その」
冷や汗が額を流れる。どう言いわけをしようか考えたブレイドは、肌にピリピリとした嫌なものを感じて目を見開いた。
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