act.1 ブレイドとリデル

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 それは見えないながらも、リデルを中心に、まるで竜巻のように発生しているのが分かる。彼の体から溢れ出した禍々しい力が、周囲の空気を汚染していく。 「別に今すぐ、すべてを破壊してもいいんだぞ」 (まず……ッ!) 「何、この子」  ブレイドの背後で、この不穏に気付いていない彼女が、訝し気に呟くのが聞こえた。 「リ、リデル、誤解だ! お、俺……そう! この子に無理やり連れ込まれて!」 「はあ!? あんた何言ってんの!? あんたが声掛けてきたんじゃない!」 「俺を信じてくれ! 頼む!」 「……」 「俺にはお前だけだよ。お前だってそうだろ?」 「……それは」  戸惑ったように、リデルの瞳が揺れる。それと同時に、少しずつリデルから発せられる嫌な気配が小さくなっていって、ブレイドは内心安堵した。 (よし、この調子でこのまま……!) 「な? 俺がお前のこと裏切るわけないだろ。よし、じゃあ一緒に帰……」 「サイッテー!」  笑顔を取り繕い、必死に言葉を紡いでいたブレイドは、背後から衝撃を受けて前につんのめり、そのまま無様に地面に倒れ込んだ。 「ホモが声なんか掛けてこないでよね! 最悪! 最低!」  受け身こそとったものの、体を地面に打ち付けてブレイドは痛みに呻く。  そんなブレイドへ、彼を足蹴にした張本人である彼女は、金切り声でそう叫ぶと、走ってどこかへ行ってしまった。
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