7人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕は先生たちの関係を絶対に口外しませんから、その代わり名簿を見せて下さい」
「脅しているのか?」
「脅していませんよ。交換条件なんですから、脅しじゃないでしょ。てゆーか、先生方の関係ってダブル不倫ですよね?」
「・・・・・・」
「たまたま2人がキスしてるシーンを写真に撮ってしまいました。これをネットに流していいですか? とか言うのが脅しですよね」周平は手に持っていたスマホをかざしていた。これはブラフだろう。周平が写真を撮っている様子はなかったのだから。
泉と鈴木の顔面は薄暗い職員室で浮き上がるくらいに蒼白だったが、きっと僕の顔はそれ以上に白かったに違いない。周平みたいに捨て身の覚悟で飛び出す勇気は微塵もなく、早くやり取りが終わるのをじっと待っていた。
「・・・・・・わかった」泉はあっさりと条件を飲み込んでいた。
「じゃあ、名簿を写真に撮らせてくれたら、さっきの写真を消します」
こうして周平は名簿を手に入れるのだった。
そして元々存在しない写真を消したふりをしてから、スマホ内のアルバムを2人に見せて、スクープ写真がこの世から消えたことを証明してみせるのだった。
「どうぞ、先に帰って下さい」周平は2人に帰宅を促していた。
「お前が先に帰れよ」泉はアゴでドアを指していた。
「2人に残られると、また写真が撮りたくなっちゃうじゃないですか。いいんですか? 僕は職員室から出る瞬間に2人を激写して、走って逃げるかもしれないですよ?」
「わかった・・・・・・わかったよ」泉は諦めた表情で鈴木と一緒に職員室を出ていった。鈴木は終始無言で、泣き出しそうな顔になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!