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「お前、マジですげーな」僕は鼻息を荒くしながら机の下から出た。
「賭けに出てみた」周平は勝ち誇った顔をしている。
「俺が見つからないようにしてくれたんだな」
「当たり前だろ。無理やり誘ったんだから」
「明日から学校でどんな顔してあの2人に会うんだ?」
「普通に接することくらいできるよ。俺は自分の元カノが他の男と手を繋いで歩いていても、眉ひとつ動かさないでいられる男だ」
「かっこいい」
僕たちはその足でファミレスに入った。客はまばらで、客層も普通。下ネタを大声で笑いながら喋る知的レベルの低い連中はいなく、リラックスした雰囲気で生徒の名簿を分析することができた。
「ワクワクするね。2人のMK」周平はドリンクバーを飲みながら笑顔で言った。
「案外見た目通りだと思うけどね」僕は冷静に分析していた。
「俺もそう思うよ。俺たちがそうであるようにね」
「・・・・・・ところで、親の過去を読んだんだろ?」僕は腕を組みながら訊いた。
「どうした急に」
「うちの姉貴がさ、親の過去は絶対に読むなって、すごい剣幕で言うんだよ。なんか怖くなってきちゃってさ。うちの親の過去に何があったんだろうって」
「あ?、お前の親、前科者だわ」周平は僕の顔を指さした。
「やめろって、マジだったらどうするんだよ」
「俺の母親なんて親父と結婚する前に、4人の男と交際してたからな。4人目の彼氏とは同棲までしてるし。レストランで食事している時に喧嘩になって、そのまま別れてさ、泣いてる母親に声を掛けたのが、その店で働いていた親父ってわけさ」
「結構、ドラマチックじゃね?」
「どこがだよ。うちの親父は今レストランを経営してるけど、食材の鮮度にはすげーうるさいんだよ。自分の嫁さんはキズモノなのにさ」と言うと周平は声を出して笑っていた。
「そういうの笑えないから、マジで」僕は小宮が見知らぬ男と抱き合っている姿を想像して胸が苦しくなっていた。
「親の話はいいから、さっそく読もうぜ」
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