アガスティア

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「早くご飯食べなさい。学校に遅れるわよ」母は炊きたての御飯と味噌汁を僕の目の前に置いた。  いつも通りの朝食だ。  母は濃い目のメイク。  父は新聞に隠れている。  きっとこの2人の小説を読んだら、毎日繰り返されているこの朝の風景が違うものに見えてくるのだろう。  姉は既に読んでしまったのだろうか? そのせいで2階から下りてこなくなったのなら由々しき問題である。  僕は味噌汁をすすりながら、父が読んでいる新聞の裏側の記事に目を通していた。アガスティアに関する記事だ。 「親の過去を知る子どもたち」という見出しになっていた。
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