アガスティア

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「ゴーグル・アガスティアって見たことある?」  僕の前の席に座っている森周平は、振り向くなり質問を浴びせてきた。 「ゴーグル・・・・・・なに?」 「アガスティア。見てないことは分かったよ」周平はぶっきらぼうに言った。 「ゴーグル・マップなら分かるけど」 「そんなの誰でも知ってる。お前は本当に流行に疎いよな。ゴーグル社が新しいサービスを始めたんだ。それがゴーグル・アガスティアだ」 「何ができるの?」 「小説のサイト。もうみんなやってるよ。マジでビビるから、お前もやってみ。俺は糞漏らしそうになったよ」 「糞漏らしたくないから、先に詳しく教えてくれ」 「そもそもアガスティアってどういう意味か知ってるか?」 「なんとなく聞いたことあるかも・・・・・・インドの」僕は記憶を手探りで辿っていた。 「そう。インドの占いだよ。アガスティアの葉というものがインドにはあって、そこには自分の運命が既に記されているという、あれだ」 「それと小説に何の関係があるんだ?」 「ゴーグル・アガスティアに入って、幾つかの質問に答えると、自分だけの小説を見つけてくれるんだよ。それを読むとビックリするぞ。自分の今までの人生が小説化されているんだ」
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