アガスティア

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「やっぱり新機能をきっかけに有料化するのかな?」周平は学食の日替わりAランチを右手で食べながら、左手でスマホを器用にいじりつつ、話しかけてきた。 「ありがちだね」僕は味気ない醤油ラーメンをすすっていた。 「課金したらイニシャルが実名に切り替わるとか」 「それをやったら会社に爆破予告されるんじゃね?」僕は期待を込めて言った。 「平気だよ。あの会社は本社とか存在しないし」 「そうなの?」 「社員はみんな自宅のPCで仕事をしているらしいよ。世界中に社員がいるから、時差を利用して会社自体は24時間営業さ」 「聞けば聞くほど不思議な会社だ・・・・・・みんなと同じオフィスで働かなかったら、社員同士の結びつきは薄いんだろうな?」 「同じ空間にいても親の誕生日すら知らない子供も世の中には存在するみたいだし、人の繋がりを作る上で、オフィスというものは絶対に必要というわけでは無いんじゃね?」  周平は嫌味っぽく笑いながら、僕の顔を上目使いで見ていた。
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