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「ほんとだって! 俺、かなたのこと大好きだからな!!」
そしてロイは私にぎゅっと抱きつき……。
「きゃあ、だからってこんなところで、キスしようとするな~!」
「へへっ、おしいっ!」
もう、油断も隙もないんだからっ!
それから家まで、手を繋いで帰ったけれど、なんだか上手くごまかされちゃったみたい。
あの様子だと、何か他に理由があるような気がするんだけど……。
どうして教えてくれなんだろう。
そんなに言えないことなのかな。
隠し事をしている様子のロイに、私はちょっぴり淋しくなってしまった。
「かなた、今日もロイと待ち合わせ? このところしょっちゅう会ってるでしょ。まったく、家でいくらでも会えるのにね」
「だって、家だとなかなか2人きりになれないんだもん」
ちょっと2人で話していると、フロリアがわざとちょっかい出してきたり、ユーゴがおやつって騒いだり。
ゆっくり会うには、外で待ち合わせする以外にないのよね。
「はいはい、ごちそうさま。でも最近、あんたがコスプレした子とよく歩いているって、校内で噂になってるよ」
「ええっ?」
コ、コスプレかあ……。
確かに、ロイの容姿って後の2人に比べると、特に人間からかけ離れてるものね……。
「そ、そうなんだ……コスプレねぇ……」
「まあ、あんな格好じゃあしょうがないよね。目立つんだから、いろいろ気遣ったほうがいいかもよ?」
「そうだね、ちょっと気をつける。ありがと」
「ま、あたしもかなたが面倒事になったら困るからさ。じゃ、ロイにもちゃんと言いなさいよ」
「うん」
「それじゃね!」
「またね、美琴ちゃん」
……
…………
………………
「遅刻しちゃう!」
美琴ちゃんと別れた後、担任の先生につかまるなんて思わなかった。
ロイとの待ち合わせ場所に向かいながら、美琴ちゃんに言われたことを思い返す。
そうなんだよね……ロイは魔物なんだからあんまり目立った行動しちゃ本当はいけないのよね。 でも、コスプレかぁ……そう見てもらえる世の中なのは、ある意味いいのかもしれない。
誰も本当に耳が生えていたり、尻尾がついていたりする魔物だなんてなかなか思わないものね。 でも、気をつけるとなると、なかなかロイと外で逢ったりできなっくなっちゃうかな。
それは淋しいなあ……。
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