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「昨日、ロイと公園にいたよね」
「うん……?」
やだなあ、デートしていたところを見られちゃったのかな?
「誤解しなで聞いて欲しいんだけど」
美琴ちゃんまで深刻な顔してるから、私は自然と構えてしまった。
「ごめんね、昨日……君たちの会話が聞こえてしまったんだ」
「……!」
「あんたたちは気が付いていなかったけど、あたしたち、すぐ後ろにいたんだよ」
「つ、つけてたの!?」
「だから誤解しないでって。あたしたちの方が先に噴水の側にいたんだからね」
そういえば……噴水の流れでよく見えなかったけれど、反対側に誰かいたっけ……。
「あんたには悪いけど、ロイのこと見損なったよ」
「ええ!?」
「あんな事情を聞かされちゃったら、ここに残りたい理由に君を使ってるようにしか見えないよ」
「そんなこと……!」
「普段から調子がいい奴だしね、あたしも心配」
「美琴ちゃんまで……」
どうして? どうして2人とも……そんな悲しいことを言うの?
「意地悪で言っているんじゃないんだ、君が傷つくようなことになったら、僕は……」
言いかけて、智哉くんは言葉を飲んだ。
「……大丈夫、だもん……」
2人とも酷いじゃない。
……心配してくれているのはわかっているけれど、ロイはそんな人じゃない。
私のこと、本当に好きでいてくれている……んだよね?
大丈夫だよね……?
「お~い、かなた~」
「もう! ノックしてって言ってるでしょ!」
ロイはその声を無視して床に平然と座り込み、マイペースに続ける。
「なあなあ、これなんだ?」
ロイが手にしているチラシをひらひらとさせる。
それは結婚式場の広告で、綺麗な和装の新郎新婦の写真が大きく載っていた。
「え? ああ、これは結婚式場の写真よ」
「へぇ~、こっちじゃこういうの着るんだ」
「日本はね、和服でも結婚式を挙げるのよ」
「……俺でも似合うかな?」
ロイが照れくさそうに笑う。
「あは、そうね……」
笑いかけようとすると、ロイの表情が急に曇った。
「でも、こんな耳とか尻尾とか生えてる俺じゃ無理か……」
「……もう、なに言ってるの?」
「そうだな、ますは結婚よりもちゃんと、ソーゴーリカイをきめてだな!」
「互角理解でしょ。十分わかってるわよ」
ロイが飛び掛かってくるのを、枕で制する。
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