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ロイはこんな複雑な乙女心なんてわからないのかもしれない……。
でも、ストレートにそう言ってくれるロイが素直に嬉しかった。
「でも、今お前、ヤキモチやいてくれたってことだよな! へへ、なんか気分いいな」
チュッ!
ロイがちょっと意地悪く耳元で囁いて、軽く頬にキスしてきた。
「……もう! どさくさに紛れて……」
ヤキモチ、か。
そうね……、今日の私、おばあちゃんに嫉妬しちゃったんだ。
でも、ロイはそれすらも喜んでいるみたいでちょっと複雑。
今まだおばあちゃんに対して嫉妬しちゃうけど、いつかは気にならなくなるのかな……。
私たちはリビングで、洗濯物の山に埋もれていた。
「一週間分で、しかも4人分の洗濯物となると、たたむのも大変ね」
「すげー、レースとかフリルとか」
「……ちょ、ちょ、ちょっと! それは触ったらダメ!!」
慌ててロイの手からもぎとったのは、去年のバースディに美琴ちゃんからもらったベビードール。
かわいくて気に入ってるんだけど、人に見られるのはちょっと恥ずかしい。
「お姫様みたいでかわいいぞ。いいな、これ着たお前といちゃいちゃしたい」
「ばかっ! 何言ってるのよ!!」
褒められたのは嬉しいけど……。
はい、なんて言えるわけ無いじゃないのよ。
「せっかく褒めたのにばかって言われた。悔しいから膝枕してくれよっ」
「こらっ、ちょっと、勝手に!!」
……まあ、いっか。
昨日、今日とお手伝いがんばってくれたし、ちょっとしたご褒美よね。
「……俺、今すっげー幸せだなー」
背中を丸めて、ロイが私の膝に頬をすりすりと撫でつける。
ゆらゆらと大きな尻尾が揺れて、それがたまに私の足の裏にも当たるのが、ちょっとだけくすぐったかった。
「いつも大袈裟なんだから」
「今死んでも……それは良くないな。 俺、まだお前とチューしてねーし」
「もう、そればっかり」
「だってさ、むっちゃ心残りあると、死んだ後にオバケとか魔物とかになってずっとこの世をさまよい続けるんだぜ」
「はいはい」
「なぁなぁ、俺のためにキス~。おくちに、チュッ♪ て、してして~」
「……かわいく甘えてもだめなものはだめです! ごちゃごちゃ言ってないで、眠いならさっさと寝なさい!」
「じゃ、ロイくんにおやすみのキス~。んふっ」
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