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濃紺の空に散りばめられた星が、氷のように冷たい輝きに見えて、涙が零れそうになったこともあったけど・・・・・・。
絶対に泣かないって決めていた。 だって、必ず帰ってくるって信じてたから。
「・・・・・・泣いてるのか?」
「ちょっと、だけ」
「どうして?」
「星の光があたたかく見えるのが、幸せで・・・・・・」
「はは、変な奴だな・・・・・・」
裏庭で私たちは、誰にも気がつかれようにこっそり、2人だけの小さな結婚式を挙げた。
2人きりで、星空の下で挙げたいといのは、お互いの希望だった。
「・・・・・・お前と・・・・・・これからは、ずっと一緒にいられるんだな」
私の左手を取り、そっと口付けたロイが呟く。
その唇が優しくて・・・・・・その言葉が嬉しくて・・・・・・震えるほどの幸せを感じた。
ロイはゆっくりと薬指をなぞり、少し残念そうに目を細めた。
「指輪も用意してやれなくて、ごめんな」
「いいよ、そんなの・・・・・・」
目に見えない確かなもので・・・・・・通じ合っている。もっと深い所で繋がっていることが、わかっているから・・・・・・。
そんな私たちに、指輪なんていう形・・・・・・そんな曖昧なつながりは、必要ない。
「お前の命が尽きる日まで、ずっと傍にいて、愛し続けるって、約束するから」
「うん・・・・・・信じてる」
「愛してる、ぜ・・・・・・」
ロイの口付けを待つためそっと目を閉じた瞬間・・・・・・。
夜の闇から零れ落ちた星の雫が、きらり、左の薬指に輪を描いたように見えた。
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