第2章

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 フロリアは手が痛くてかなわないとばかりにひらひらとさせる。  「・・・・・・あ・・・・・・お、俺・・・・・・」  ロイはまだ意識が混濁しているのか、呆然としている。  「もう大丈夫そう・・・・・・だな。今、解く」  ユーゴが手をかざすと、ロイに巻きついていた闇が手の中にしゅるしゅると戻っていった。  「ったく、このバカ犬! 一言相談しろ! 成獣化ことくらい」  フロリアが傍に寄ろうとすると、ロイはガバッと立ち上がって、私を見つめた。  「・・・・・・」  でも・・・・・・目線は私の顔ではなく、さっきから自らが絞めた首筋にあった。  「・・・・・・っ!!!」  ロイは涙を浮かべて、窓に向かって逃げるように飛び跳ねた。  「待ってロイ! 行かないで!!」  窓のところで、ロイがピタリと動きを止めた。  ユーゴもフロリアも私も、ただロイを見つめている。  「・・・・・・」  ロイは大きく息を吸うと、意を決したように、振り返らずに窓の外に飛び出していった。  「・・・・・・あのバカ」  フロリアがため息をつく。  「解くの早かったかな。ごめん、かなたさん」  ユーゴが申し訳なさなそうにうなだれる。  「・・・・・・ロイ」  窓の外から、悲しげな遠吠えが聞こえた。  「・・・・・・で、まだ帰ってこないわけだ」  「・・・・・・うん」  美琴ちゃんはスプーンでカフェラテの水面をくるくる回しながら、難しい顔をする。  「で、あんたはどうなの?」  「どうって?」  「いなくなったロイを諦めて、新しい恋でも始めるんですかってこと」  「そ、そんな! もう、いくら美琴ちゃんでも怒るからね!!」  「ま、あんたの性格じゃそうだろうね。でも、実際問題ロイはいなくなったわけでしょう?」  「・・・・・・まだ魔界に帰ったわけじゃないと思うの。近くにはいるはず・・・・・・だから探すわ、毎日」  「ふふっ、やっといつもの顔になってきた」  「え・・・・・・?」  「泣きそうな声で電話かけてきて、今にも死にそうな悲壮感バリバリの顔してたからさ」  美琴ちゃんは一気にカフェラテを飲み干して、ボウルを置いた。  「悲劇のヒロインになってばっかりで何もしないんだったら、ひっぱたいてやろうかと思ってたけど、心配なさそうだね」  「・・・・・・美琴ちゃん」
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