第2章

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 「だから泣かないでっての! あたしも協力すっからさ。あのバカロイっと捕まえてブン殴ってやるわ、あたしの親友を泣かすなタコ!ってね」  美琴ちゃんは空を殴る振りをして、ケラケラと笑った。  こうやって話を聞いてもらえるだけでも、ほっと心が軽くなる。  美琴ちゃんの言うとおり、泣いてばかりで何もしないのが一番かっこ悪い。  ロイを探しだして、一緒に入れる道をちゃんと探そう。  私の気持ちをちゃんと伝えれば、ロイがそう望んでくれたら、きっと何かあるはずだから、魔物とと人とが仲良く一緒に居れる方法が。  私は胸のペンダントをぎゅっと握った。・・・・・・おばあちゃん、力を貸してね。  「さ、オープンカフェに長居するには寒い季節だよ。行こう?」  「うん! 今日はありがとう」  「いいって、いいって。じゃあ、またね!」  美琴ちゃんと別れたあと、私はすぐに帰る気にもなれず町をぶらぶらと歩いた。  ・・・・・・ダメね、1人になるとどうしても、気持ちが沈んできちゃう。  町のどこへ行っても、ロイの姿を探してしまう。  屋根の上から、飛び降りてくるんじゃないか。  あの角から、走ってくるんじゃないのか。  後ろから、抱きついてくるんじゃないのか。  でも、ロイの姿はどこにもない。  「・・・・・・ロイのバカ、どこいっちゃたの? ・・・・・・会いたいよ」  ロイと歩いた場所、ロイと話した場所、いろんなことを思い出しながら歩き続ける。  ふと淋しくて涙が出そうになるけれど、私はロイと会うまで泣かないって決めたんだもの。  ・・・・・・どこで寝ているんだろう? ちゃんとご飯は食べてるのかな・・・・・・。  気がつくとロイのことばかり考えている。  気がつくとまた商店街のハズレまで戻ってきてしまっていた。  仕方なく、晩ご飯の買い物でもして帰ろうと思ったとき、目の前を何かが駆け抜けて行った。  「・・・・・・え?」  それは明らかにロイだった。  そう判った瞬間にロイは道路まで駆け出していて、スピードを出しているトラックの目の前に飛び出した。  「!! ロイーーーーーーーーーーっ!!!」  ロイの身体が跳ねて、向こう側に歩道に打ち付けられた。  轢いたトラックは罵声を上げ、猛スピードで逃げていってしまった。  私は全力疾走でロイの元に向かった。
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