0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「だから泣かないでっての! あたしも協力すっからさ。あのバカロイっと捕まえてブン殴ってやるわ、あたしの親友を泣かすなタコ!ってね」
美琴ちゃんは空を殴る振りをして、ケラケラと笑った。
こうやって話を聞いてもらえるだけでも、ほっと心が軽くなる。
美琴ちゃんの言うとおり、泣いてばかりで何もしないのが一番かっこ悪い。
ロイを探しだして、一緒に入れる道をちゃんと探そう。
私の気持ちをちゃんと伝えれば、ロイがそう望んでくれたら、きっと何かあるはずだから、魔物とと人とが仲良く一緒に居れる方法が。
私は胸のペンダントをぎゅっと握った。・・・・・・おばあちゃん、力を貸してね。
「さ、オープンカフェに長居するには寒い季節だよ。行こう?」
「うん! 今日はありがとう」
「いいって、いいって。じゃあ、またね!」
美琴ちゃんと別れたあと、私はすぐに帰る気にもなれず町をぶらぶらと歩いた。
・・・・・・ダメね、1人になるとどうしても、気持ちが沈んできちゃう。
町のどこへ行っても、ロイの姿を探してしまう。
屋根の上から、飛び降りてくるんじゃないか。
あの角から、走ってくるんじゃないのか。
後ろから、抱きついてくるんじゃないのか。
でも、ロイの姿はどこにもない。
「・・・・・・ロイのバカ、どこいっちゃたの? ・・・・・・会いたいよ」
ロイと歩いた場所、ロイと話した場所、いろんなことを思い出しながら歩き続ける。
ふと淋しくて涙が出そうになるけれど、私はロイと会うまで泣かないって決めたんだもの。
・・・・・・どこで寝ているんだろう? ちゃんとご飯は食べてるのかな・・・・・・。
気がつくとロイのことばかり考えている。
気がつくとまた商店街のハズレまで戻ってきてしまっていた。
仕方なく、晩ご飯の買い物でもして帰ろうと思ったとき、目の前を何かが駆け抜けて行った。
「・・・・・・え?」
それは明らかにロイだった。
そう判った瞬間にロイは道路まで駆け出していて、スピードを出しているトラックの目の前に飛び出した。
「!! ロイーーーーーーーーーーっ!!!」
ロイの身体が跳ねて、向こう側に歩道に打ち付けられた。
轢いたトラックは罵声を上げ、猛スピードで逃げていってしまった。
私は全力疾走でロイの元に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!