第2章

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 フロリアとロイは相変わらず喧嘩が絶えないけど・・・・・・。  それでも凶暴化したときに止めてくれたのを感謝しているのか、ロイは前ほどフロリアを嫌ってはいないみたい。  「お茶淹れて来たわよ~!」  「やっぱりダメだ、ロイは」  「なんでそんなこと言うんだよ! お茶ありがとな!」  「・・・・・・少し休憩・・・・・・」  「ふふ、おつかれさま」  なんだかんだ言って、フロリアもユーゴもロイのことに協力しているあたりが仲のいい証拠ね。  この屋敷で3人揃って元気に騒いでいるのを見るのが、やっぱり嬉しい。  「それで、なにかいい方法はみつかった?」  「めぼしいものはとくに・・・・・・」  「人間界では・・・・・・」  フロリアとユーゴが首を振る。  「かなた、だいじょうぶだって! なんとかするから俺!」  ロイは私を心配させまいと一人張り切った声を出す。  「う~ん、でも何度も言うけど私は今のままのロイでも平気よ? ペンダントもあるし・・・・・・」  「でも、凶暴化したときに効くかどうかは試してないじゃないか。俺はもうお前を傷つけるのは嫌なんだよ」  ロイがあの晩を思い出して、少ししょげる。  「力をコントロールするには、やはり一度帰るのが最善だと思うよ」  「帰るって、魔界に?」  「そう。魔界なら常に満月と同じ状態だから、そこでコントロールできればいいってこと」  「難しいことなの?」  「こっちに居ると波が激しいからコントロールといっても難しいからね、特にバカ犬じゃさ」  「・・・・・・ぐ」  「まったく、こんな訓練、普通成獣化の前にやっておくはずなのにねえ。サボってたお前が悪い」  「うぐぐぐぐ」  「ロイは魔界に帰りたくないの?」  「帰りたくない・・・・・・というか、いつ戻ってこられるか行ってみないとわからないから」  「ロイ・・・・・・」  「ああ・・・・・・、わかってる、本当は行くしかないんだってこと。ただ・・・・・・」  「ただ・・・・・・?」  ロイはじっと私の顔を真剣に見つめてから、首を少しうなだれた。  「お前が待っていてくれるか、不安で・・・・・・。俺も離れたくないし・・・・・・」  フロリアが呆れたような大きなため息をついた。  「バカだよな?」  「・・・・・・ロイは、鈍い、な」  ユーゴが私に笑いかける。
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